車輌のあれこれ
貨車の形式称号
2020年7月8日公開

 ”セナ”や”ハト”といった、三池鉄道独自な形式称号についてまとめてみました。1891(明治24)年鉄道開設の当初は貨車には形式がなく、車番だけが書かれていましたが、1917(大正6)年になってイロハ方式の形式称号が付与されています。下表は『三池港務所沿革史』より、形式と車種荷重の関係をまとめたものですが、車種については、三池独特な用語を用いたので解説を加えましょう。

 「底開炭車」〜底扉を備えた石炭車。
 「函台車」〜側扉・妻板を備えた無蓋車。
 「平台車」〜側板・妻板がない無蓋車。
 「横開台車」(竣工図表では横開炭車とあり)は、函台車同様、側扉・妻板を備えた無蓋車ですが、側扉は側板の下半分のみであり、また床板が山型になっています。いわば側開きのホッパーカーですが、床の傾斜はあまり急ではありません。ロ形については『三池各事業所写真帖』の三池港桟橋での写真を見たほうが分かりやすいでしょう。この写真はイロハ時代、および4トン車の基本構造を見るうえで、貴重な資料となります。

 1917(大正6)年称号制定(〜1936(昭和11)年まで)
形式 車種 荷重
底開炭車 4トン積み
7トン積み
8トン積み
16トン積み
横開台車 4トン積み
8トン積み
9トン積み
10トン積み
平台車
函台車
4トン積み
平台車
函台車
5トン積み
7トン積み
平台車
函台車
7トン積み
有蓋車 4トン積み
8トン積み
10トン積み
平台車
函台車
8トン積み
函台車 10トン積み
函台車 7トン積み
硫酸槽車


『三井三池各事業所写真帖』より


貨車をアップ。33号、35号の左上に小さく「ロ」とある。4トン積み横開台車は40両が製造されている。

 上表のようなイロハ方式は同一形でも車種荷重が複数あり、保守管理上の問題があったのか、1936(昭和11)年、再度の称号改正が行われ、「車種+荷重」方式にまとめられました。これが鉄道廃止まで引き継がれていくことになります。下表において、車種については、その後見られなくなったものがありますので、簡単に触れておきましょう。
 「石膏台車」は、染料工業所やT洋高圧で廃棄物として生じた石膏を運ぶ台車。廃車になった7トン積み石炭車を種車として1934(昭和9)年製造、シナ形となりました。構造的には函台車ですが、泥状の積荷の漏洩を防ぐため側扉がありません。
 「連結台車」は、両用連結器と緩衝器(バッファー)を両側に備えた台車で、1925(大正14)年より国鉄貨車が自動連結器化されたため、乗入れ車輌との間に挟まれる控車となる台車。二形を改造、および新造車があり、レ形(荷重なし)およびレナ形(函あり7トン積み)が在籍。

1936(昭和11)年6月称号改正
車種 荷重
石炭車 4トン積み
平台車 7トン積み
函台車 8トン積み
有蓋車 9トン積み
石膏台車 10トン積み
タンク車 12トン積み
連結台車 16トン積み
18トン積み以上



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