車輌のあれこれ
三作製15トン電車
11〜12号考察
2021年2月8日公開
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 15トン電車は、”小型電車(=積込電車とも)”と呼ばれ、三池港船渠に隣接したトンネル式貯炭場(四ツ山貯炭場)から、岸壁に設けられた船積機(三池式快速石炭船積機=通称ダンクロ・ローダー)への運炭輸送を担うことを目的として導入された電気機関車です。当初、米国ゼネラルエレクトリック(以下G.E.)社製の1〜10号(旧番号)を2回に分けて輸入しましたが、この機関車を参考に社内の三池製作所(以下、三作)にて、同性能の11〜12号電車を1920(大正9)年に製造しました。

 下図は『車両竣工図表』より、11〜12号の形式図のトレースになります。1〜10号と同様、トンネル式貯炭場にて使用するため、車高を低く抑えています。集電装置も同じくポール式。主電動機の出力(30KW×2)やギア比も同じで、スペック的には1〜10号と同じですが、11〜12号のみの特徴として、運転室が中央に寄っていることが形態の大きな違いになります。

 形式図では主電動機の位置を示していないため推測になりますが、1〜10号が軸間に2個配置するのに対し、11〜12号は、運転室スペースの関係から車軸の車端側に配置したのではないかと考えます。形式図には正面図がありませんが、車巾は1〜10号とほぼ同じです。ただし、G.E.社製の原形の運転室は幅狭のために見通しが悪く、その改良として1921〜1925(大正10〜14)年にかけて運転室の拡幅改造を行っています。11〜12号は製造年からすると、当初より幅広の運転室だと思われますが、むしろ1〜10号に影響を与えたのかも知れません。

 残念ながら、11〜12号を同定できる写真は発見されておらず、形式図がどこまで正しいのかの検証も含めて詳細不明な点が多々あります。また、15トン電車が、1952(昭和27)年に改番(1〜8号)された際、11〜12号はこの時点で車籍が無くなっていたのでしょうか、消息が途絶えてしまっています。


うしやん作図/11〜12号電車形式図 単位フィートインチ(ミリ)

 前述したように、11〜12号の写真は未発見ですが、わたしがこれは?と思っている写真がありますので、取り上げてみましょう。
 下の絵葉書は、トンネル式貯炭場での電車の稼働状況を写したものです。高架桟橋の20トン電車とトンネル手前の15トン電車を同時に捉えたショットで両者の分担をよく説明していると思います。15トン電車をアップにしてみたのが2枚目ですが、車軸と運転室の位置を比べると、運転室が中央寄りにあるように見えませんでしょうか。まぼろしの11〜12号の可能性は如何。

(絵葉書/うしやん所蔵)高架桟橋には石炭を卸す20トン電車、その下ではトンネルに進行する15トン電車。

同絵葉書をズームアップ。運転台が中央に寄って軸間にあるように見えます


(2012年11月)参考までに5号電車(旧番7号)を同じ角度から。運転室が車軸の外側にあり、L型に近い。なお、15トン電車は大正10〜14年にかけて、運転室の拡幅改造を行っています。


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