車輌のあれこれ
三作製15トン電車
13~14号考察
2021年3月7日公開

 三池製作所(以下、三作)製の15トン電車13~14号は、1920(T9)年に製造された11~12号に続き、港構内用として1923(T12)年に増備された機関車です。港構内用とは、三池港の貯炭場、船積機および岸壁で使用するための機関車で、最大で16台(15トン電車×14台、20トン電車×2台)が配置されています。なお、本線用の機関車とは号車が重複するため、資料的には混乱もみられます。表①のように、性能的には11~12号と同じで、8トン積み炭車(セヤ形)8~10両の牽引が可能でしたが、そのスタイルは全く異なるものとなりました。

 下のイラストは、竣工図表および、『機関車表』(沖田祐作著2014)にある”15トンEL”をベースに描き起こしてみたものです。後者の側面図(青焼図面)は号車を明記していませんが、軸距(2134ミリ)が一致しており、13~14号とみて間違いないでしょう。ただし、両用連結器を装備しており、より正確には1925(T14)年以降の姿ではないかと思います。すでに本線用として登場していたジーメンス・日車製の20トン電車(1~12号)によく似た凸型の車体に、パンタフラフ(共通の高橋式ローラーパンタグラフと思われます)を装備したその姿は、”和製ガメ電”の11~12号からすると、至極真っ当に見えますが、本線用20トン電車に比べ、車長、軸距ともに90センチほど短く、逆に車巾が30センチほど広くなっています。車輪径も一回り小さく、スタイル的には三作オリジナルの味があります。車高があるため、トンネル式貯炭場には入線できず、もっぱら岸壁線で使われたのではないかと想像します。

 残念ながら13~14号と特定できる写真は未発見ですが、戦後の”13号電車”として捉えた写真を見つけました。車幅と車長のバランスから、おそらく15トン電車の13号の姿ではないかと推測します。独特な大形パンタグラフを装備しており、ボンネット正面の前照灯が残っています。終戦間もないためか、格子窓のガラスが不足していたようです。

 以下、『三池港務所沿革史』より、製造から使用開始までの経緯ですが、わずか2年でパンタグラフを交換した理由については不明です。

 1923(T12)年4月 第13号14号車(パント式)到着(15トン車)
 1923(T12)年7月 新15トン車試運転
 1924(T13)年2月 第13号車積込繁忙のため使用開始
 1924(T13)年3月 第14号車使用開始
 1925(T14)年1月 第13号車パントローラー取替
 1925(T14)年12月 第14号車パントローラー取替



表① 11~12号と13~14号の性能比較
1920年製11~12号 1923年製13~14号
自重 15トン 15トン
主電動機 40馬力×2
(30KW×2)
40馬力×2
(30KW×2)
歯車比 15:69 15:69
牽引力 5000ポンド
(2268KG)
5000ポンド
(2268KG)
速力 毎時6マイル
(9.6KM)
毎時6マイル
(9.6KM)
制動装置 手用 手用+空気
圧縮空気装置 無し 有り
集電装置 ポール パンタグラフ


1947(S22)『こども朝日』より。13号という車号が確認できます

 外観のわりには非力だった13~14号電車でしたが、1952(S27)年5月に主電動機を換装(30KW→93KW)して20トン電車31~32号に改造されました。竣工図に記載はないのですが、その際に軸距が拡大されたと思われます。その後、1962(S37)年6月に集電装置、1964(S39)年10月に車輪径拡大などを経ています。なお、車幅が増えていますが、これは車体改造ではなく、雨樋の増設ではないかと思われます。以下、表②で諸元を比較してみました。

表② 13~14号と31~32号、および15~16号の諸元比較
13~14号 31~32号 15~16号(原形)
自重 15トン 20トン 20トン
主電動機 40馬力×2
(30KW×2)
125馬力×2
(93KW×2)
125馬力×2
(93KW×2)
歯車比 15:69 20:117 20:117
牽引力 5000ポンド
(2268KG)
8000ポンド
(5085KG)
8000ポンド
(5085KG)
速力 毎時6マイル
(9.6KM)
毎時8マイル
(12.9KM)
毎時8マイル
(12.9KM)
車体長(連結器含む) 6070ミリ(両用) 5950ミリ(自連) 6930ミリ(両用)
車体幅 2440ミリ 2740ミリ 2100ミリ
車輪径 700ミリ 900ミリ 900ミリ
軸距 7’
(2134ミリ)
8’-8”
(2640ミリ)
9’
(2720ミリ)
制御装置 直接式 直接式(31号のみ間接式に改造) 直接式(間接式に改造)



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